レシパーファイルvol.5笑えて、会話もはずむ 〝持って歩ける〟羊毛作品

〝日本にはない感じ〟/面白い、笑える、楽しい作品たち

関西だけでなく、東京や名古屋でも店舗に商品が置かれている大山さん。〝へんてこ羊毛作家〟として活動し始めたのは、2012年からだというから驚きだ。4年目で全国展開しているのだから、すごいの一言。独立前は手芸メーカーで営業をしていたそうだ。

「手芸道具の使い方を教室の先生に教えたり。商品開発の人に求められて、現場の意見を伝えたりしてましたね」

結婚を機に手芸メーカーをやめ、3~4か月くらいの頃、自分の力で一歩を踏み出す機会が訪れた。

「革作家さんに『ロハスに一緒に出そう』って誘われたんです。その時、『じゃあ何作ろうか』ってなって」

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その時に思いだしたのが、海外出張でアメリカに行った時に出会った羊毛のマスコット。日本で見るものとは違うかわいさがあり、色使いも素敵! と印象に残っていたそうだ。

「それを思いだして、羊毛フェルトでカバンやブローチを作りました。大仏さんの顔のブローチとか、『面白い』『笑える』『楽しい』って言ってもらえたんですよ」

そのロハスで業者さんに声をかけてもらい、屋号を考え、〝いっこの実〟と名付けた。半年後には、ハンズビーで扱ってもらえるようになった。

「日本にはない感じって、言ってもらえましたね。誘ってくれた革作家さんも私の個性をわかってて『違うもん、作ってくるやろう』って思ってたらしいです」

デビューの舞台から半年後には、商品を店頭に並べてもらえる。うらやましいほど、とんとん拍子に進んだようだ。手芸メーカーの営業先で、パッチワークや洋裁、編み物などいろいろなものに触れてきて、知識も豊富な大山さんだからこその展開だろう。

作品への愛が強い分/考えることもいろいろ…

おおらかで明るくてとってもトーク上手な大山さん。顔を紅潮させながら、作品のことを語ってくれる様子に、ほんとに羊毛作家という仕事が好きなんだな~と感じさせられる。けれど、見えない苦労もあるようだ。

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売り場で、ワークショップの場で、お客さんとの会話がはずみ、たくさんの声を聞いているからこその葛藤があったという。

「いろんな声が聞けて、刺激をいっぱいもらうんです。でも、いろいろ聞いているから、声を反映させすぎて個性がなくなってないかなんて、葛藤することもありました」

今は、大山さんのオリジナル作品ばかりだが、以前、「お客さんが描いて持ってきた絵を復元OK」としていた頃があり、ずいぶん気を使ったとか。

「例えば、子どもが描いたお父さんの絵を羊毛で復元するとき。全く同じで、なおかわいく…そう仕上げるために、最初は楽しくやってたんですが、とても神経を使いましたね。渡す時、どんな反応かなってすごくどきどきしました。喜んでくれて嬉しかったんですけどね、倍疲れました(苦笑)」

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今は、オリジナルの作品作りにワークショップにと忙しく、受けていないが、時間ができたらまたチャレンジするかもと話してくれた。

池袋のハンズビーに商品を置いてもらうときも気をもんだことがあったという。

「関西色が強いから心配だったんです。でも、向うには、ごってりしたものはないからウケましたね」

作品へのこだわりや愛情が強い分、いろいろと考えてしまう部分もあるのだろう。

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