生きていくうえでの心の支えを 差し出せるアーティストになりたい

アートは人が生きていく上での力ぞえ

取材していて意外だったのが、三好さんが作家一本でなく、これまでの仕事も続けていることだ。仕事を続けながら作品を作り続け、展覧会を開催する……思わず「すごいなあ」と心でつぶやいた。

普段はオフィス内装の設計施工監理会社に勤務している。仕事がら、様々な素材に対する知識があるそうで、陶芸作品の展示の際には、木工作品やアクリルなども取り入れたりして三好さんらしさを出しているそうだ。

「展覧会をして会社の人が来てくれて、人間関係も変わりましたね。今まで仕事上のつきあいだったのが、展覧会で意外な一面を語り出してくれたり。『自分も何かやってみようかな』なんて言ってくれたり。作家一本でなく、会社の隣の席の人がやっている、というのがいい刺激になるのかな、なんて思っています」

だから今後も両方続けていきますときっぱり言い切る三好さん。自分はこう歩んでいくんだという揺らぎない思いが伝わってきて、こちらまで清々しい気分になる。

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陶芸を続け、展覧会を開き、応援してくれる人がたくさんいて……そんな風にまっすぐ歩めるのは、一人じゃなくグループに属しているから、という部分もあるかもしれない。

「先輩がやっていることに励まされたり、後輩のことをかわいいなって思ったり。仲間っていいな助けられてるな、叱ってくれる人って大事だなって感じてますね」

二十人を超えるグループの中でも、中堅作家となった三好さん。今後の目標はどのようなものなんだろう。聞くと「庄五郎先生みたいになりたいです」と答えてくれた。合わせて、すごいと感じた先生のエピソードを話してくれた。米寿のお祝いとして、湯呑みを作って欲しいと依頼があった時のことだ。

「湯呑みのひびわれに色を入れていたんです。先生は『あなたの歩んだ八十八年、語りつくせないものがあるでしょう。ひびにあなたの道を見出してほしい』って手紙を添えたんです。『みんな泣いて喜んでます、抱いて寝てますよ』ってお礼の電話がありました」

先生のように、人が生きていく上での力ぞえを、そっと差し出せるようなアーティストになりたい、そう今後の目標を話してくれた。今年夏には、大阪とベネツィアで開催予定の企画展がある。先生の元、どんな作品を生み出してくれるのか楽しみだ。

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プロフィール

図1三好紋果

庄五郎一門の中堅作家として、2009年の個展『おりなすあや』を皮切りに、イタリア・フィレンツェなど海外も含め多くの展覧会を開催。寸草庵の一階・陶芸教室で制作に励み、二階のギャラリーなどで作品展を開催している。

ギャラリー寸草庵

住所:大阪市福島区吉野5丁目8-26 2F

電話:06-4980-1185

URL:http:www.ayaka.firenzeitalia.org

http:www.shogoro.firenzeitalia.org

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