レシパーファイル vol.3 梶川能一さん「自己の世界観が認められる喜び 夢のため、世界で戦い続ける」

夢を夢で終わらせない情熱と自己プロデュース力

梶川能一

作品を見せてもらい、経歴を伺っていると、常にパワーと行動力にみちあふれ、「才能あるアーティストさん」という印象を持つ。一方、満面の笑みで軽やかに話してくれる様子からは意外な苦労や壁もうかびあがってきた。
「もともと絵が好きで小学校から書いていたんです。でも、家でも誰も認めてくれなかった。けど好きな以上、やっていかねばと思ったんです」 家族にも認められないまま、海外へ渡った梶川さん。芸大に進学する人も多い中、海外に渡ったがゆえの苦労もあったと話す。
「2005 年に日本に戻ってからはまた一から出直しです。数年苦労しましたね。アート関係の友達がまずいない。芸大行かずだから情報もない。画廊にも相手にされない。何より日本で収入になるのか不安でした」
そこで「普通にやってちゃだめだ」と、とった行動がユニークだ。読者モデルになることでさまざまなメディアで紹介された。情報も集めるなど環境を整えながら、外国に出品しつつ、めげずに頑張ったのだそう。日本に市場がないので、外に出すことに意味があるという。アートフェアに出展したり、博物館に寄贈したり。梶川さんは夢を夢で終わらせないため、ブランド価値を高める活動を続けた。情熱の中に、客観的に自身をプロデュースできる視点があるのだなあと感心させられた。

自分が死んだ後も作品が生き続ける喜び

梶川能一

2000 年の初個展以来、数々の個展、アートフェアに出展している梶川さん。インタビュー中、とりわけ印象に残ったのが2014年4月、ビエンナーレに招待作家としてオファーをもらったエピソードだ。会場はエジプトにある、世界最古の博物館であり図書館でもある「ビブリオティカアレキサンドリア」。出品作品は寄贈され、コレクションとして取り扱われているのだそう。コレクションはこれが2度目。前回はビエンナーレへ一般参加。版画作品を「ビブリオティカアレキサンドリア」が買い取り、コレクションされている。
「自分が死んでも生きた証を残していけるっておもしろいですよね。自分の世界観を人が認めてくれる。絵描きはライフワークです」アートで人の生き方が変わるかもしれない、世の中が変わるかもしれない。そう熱く語ってくれた。

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